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蛇の檻
第5章 ――誇りの試練
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玄蛇は静かに手を動かし、玲奈の肌に琥珀色の液体を塗り広げた。
冷たい感触。
だが、それはすぐに玲奈の体温に馴染み、熱を帯びていく。
まるで液体が生き物のように、玲奈の肌の上を滑りながら、じわじわと染み込んでいく感覚。
「……っ……」
玲奈は息を詰めた。
それは単なる液体のはずだった。
だが、塗り込まれるたび、意識の奥で何かが揺れる。
玄蛇の指は無駄なく滑らかに動き、薬を丹念に広げていく。
手のひらではなく、指先だけを使い、ゆっくりと慎重に。
「……反応が早いな」
玄蛇の声が、耳元で低く響く。
玲奈は奥歯を噛みしめた。
これは、ただの薬。
ただの感覚の錯覚。
気のせいに決まっている。
「気に入らないか?」
玄蛇の指が、玲奈の肩に触れる。
薬がじわりと染み込み、ひんやりとした感触が広がった。
だが、その冷たさはすぐに溶け、ゆっくりと熱を伴うものに変わっていく。
「この薬は、時間とともに深く浸透する。最初は表面だけの感覚だが――」
玄蛇は玲奈の腕をゆっくりと滑らせながら、低く囁いた。
「やがて、内側からお前を支配し始める」
玲奈の喉が、かすかに震えた。
内側から――?
「だが、意志が強ければ、そう簡単に流されることはない」
玄蛇の声は、あくまで穏やかだった。
「お前の意志が本物なら、この薬の影響を打ち消すこともできるはずだ」
玲奈は、強く拳を握った。
「……そんなもの……」
声がかすれた。
思考は冷静であるはずなのに、身体の奥底からじわじわと違和感が広がっていく。
薬が染み込んでいくたびに、自分の感覚がどこか遠くなっていく気がした。
「……私に、効果なんてない……」
玄蛇は微笑み、玲奈の頬に指を添えた。
「それなら、証明してみせろ」
玲奈は、ゆっくりと瞳を閉じる。
流されるものか。
意識を研ぎ澄ませ、熱を跳ね除ける。
だが――
熱は、もう玲奈の内側にまで入り込んでいた。
冷たい感触。
だが、それはすぐに玲奈の体温に馴染み、熱を帯びていく。
まるで液体が生き物のように、玲奈の肌の上を滑りながら、じわじわと染み込んでいく感覚。
「……っ……」
玲奈は息を詰めた。
それは単なる液体のはずだった。
だが、塗り込まれるたび、意識の奥で何かが揺れる。
玄蛇の指は無駄なく滑らかに動き、薬を丹念に広げていく。
手のひらではなく、指先だけを使い、ゆっくりと慎重に。
「……反応が早いな」
玄蛇の声が、耳元で低く響く。
玲奈は奥歯を噛みしめた。
これは、ただの薬。
ただの感覚の錯覚。
気のせいに決まっている。
「気に入らないか?」
玄蛇の指が、玲奈の肩に触れる。
薬がじわりと染み込み、ひんやりとした感触が広がった。
だが、その冷たさはすぐに溶け、ゆっくりと熱を伴うものに変わっていく。
「この薬は、時間とともに深く浸透する。最初は表面だけの感覚だが――」
玄蛇は玲奈の腕をゆっくりと滑らせながら、低く囁いた。
「やがて、内側からお前を支配し始める」
玲奈の喉が、かすかに震えた。
内側から――?
「だが、意志が強ければ、そう簡単に流されることはない」
玄蛇の声は、あくまで穏やかだった。
「お前の意志が本物なら、この薬の影響を打ち消すこともできるはずだ」
玲奈は、強く拳を握った。
「……そんなもの……」
声がかすれた。
思考は冷静であるはずなのに、身体の奥底からじわじわと違和感が広がっていく。
薬が染み込んでいくたびに、自分の感覚がどこか遠くなっていく気がした。
「……私に、効果なんてない……」
玄蛇は微笑み、玲奈の頬に指を添えた。
「それなら、証明してみせろ」
玲奈は、ゆっくりと瞳を閉じる。
流されるものか。
意識を研ぎ澄ませ、熱を跳ね除ける。
だが――
熱は、もう玲奈の内側にまで入り込んでいた。
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