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蛇の檻
第1章 『蛇の檻』 第一章 ――目覚め 
『蛇の檻』 第一章 ――目覚め(後編)

男は怜奈の前で立ち止まると、手を伸ばした。

そして、白銀の仮面がわずかに傾く。

「お前は、自分がどちら側の人間か、これから理解することになる」

「……どちら側?」

怜奈は眉をひそめる。

「支配する者か。支配される者か」

低く告げられたその言葉に、怜奈の心が一瞬、ざわめいた。

支配する者、支配される者――?

「……そんなの…。」

何を言っているの、この男は?

そんな区別があるはずがない。

人間は、ただ人間であって、それ以上でもそれ以下でもないはずだ。

「意味がわからないか?
フフフ、それは、お前がまだ本当の自分を理解していないからだ」

男は怜奈を見下ろしながら、仮面の奥で微かに微笑む。

「しかし、お前は、本能的に知っているはずだ」 

「……なにを?」

「自分がどちら側の人間なのかを」

違う…。

怜奈は思わず首を振った。

何が違うのだ?

反射的に放った言葉に自分で驚いた。

いや、認めない。そんなもの、認められるはずがない。

だが――なぜだろう。

彼の言葉が、まるで何かを見透かすように響いてくる。 

逃れられない運命を突きつけられたように。

「焦らなくていい」

彼は言った。

「お前は、これから”知る”ことになる」

彼の指が、顎を軽く持ち上げる。

冷たい指先が頬をなぞる。

ただそれだけなのに、心臓が大きく跳ねる。

――恐怖? それとも……? 

「なにを……知るっていうの?」

震える声で問いかける。

男は、仮面の奥で微笑んでいた。

「お前の本質だ」

一瞬、部屋の灯りが揺れる。

男はゆっくりと手を離し、椅子へと腰掛けた。

「お前の本質が、どちらなのかをな――」

白銀の仮面が、無表情のまま怜奈を映す。

蛇の檻の扉が、ゆっくりと閉ざされた。

この夜が、柊 怜奈のすべてを変える夜になることを、彼女はまだ知らない。


(第一章・後編 完)
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