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第12章 終わりなき闇の序曲

第12章第5話　 囚われの誇り


玲奈の心が折れる
玲奈は、次々とオークションにかけられるたびに、心が削られていくのを感じていた。
自分がただの商品、値札のついた肉塊として扱われる現実に、何度も何度も打ちのめされる。
誇り高く生きてきたはずの自分が、今や男たちの欲望の対象でしかない。
体中に残る痛みと、心を締め付ける絶望。
「気高く生きなさい」
母の言葉が、まるで呪いのように玲奈の耳に響く。
（もう、何も考えたくない…）
玲奈は、何度も何度も心の中でそう呟いた。
玄蛇は、そんな玲奈の姿を、冷めた目で観察している。
「お前は、もう何も考えられなくなったのか？」
その声は、玲奈の耳には届いているが、答える気力すら残っていない。
玲奈は、ただ静かに目を閉じた。
玲奈の目覚め
その時、玲奈の中で何かが弾けた。
（これではいけない）
このままでは、本当に自分が消えてしまう。
何度も何度も踏みにじられた「気高さ」や「誇り」が、心の奥底から湧き上がってくる。
母の言葉が、再び玲奈の脳裏をよぎる。
「気高く生きなさい」
玲奈は、閉じていた目を開けた。
失われていたはずの「意志」が、確かに自分の中に存在している。
（私は、まだ、抗える）
玲奈は、震える手で体を起こした。
そして、玄蛇に向かって、静かに、しかし力強く告げた。
「オークションはもう嫌。自分で選ばせてほしい」
玄蛇の拒絶
玲奈の言葉に、玄蛇は冷たく笑った。
「選ぶ？ お前にそんな権利はない」
その言葉は、玲奈の心を深く抉る。
なぜ？ なぜ、私は選ぶことすらできないの？
玲奈は、玄蛇に食い下がる。
「どうして？ なぜ私は選べないの？」
玄蛇は、静かに、しかし有無を言わせぬ口調で言い放った。
「これはビジネスだ。ここでは、欲望がルールを決める。お前に決定権はない」
玲奈は、打ちのめされた。
それでも、抗おうとする。
それが、玲奈の誇りだった。
せめて拘束を解いてほしい
玲奈は、深く息を吸い込んだ。
「ならば……せめて、拘束を解いてください」
それは、玲奈の最後の抵抗だった。