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蛇の檻
第16章 『神の夜明け』
男たちは笑っている。
玲奈を見ながら。
彼女が動かないことを、むしろ 「美しい」 と感じているかのように。

だが、弦蛇は違った。
男たちが歓喜するその光景が、彼の胸に奇妙な苛立ちを生んでいた。

「何かが違う」

彼は玲奈を奪ったはずだった。
彼は玲奈を壊すはずだった。

なのに今、玲奈を壊しているのは自分ではなく、ここにいる男たちだ。

弦蛇は眉を寄せ、玲奈を見下ろす。
彼女はまだ目を閉じている。

無力な神。
欲望に捧げられる偶像。
神を神たらしめるために、貪り尽くされる肉。

「ふざけるな」

弦蛇の奥底で、何かが軋んだ。
それは何なのか、自分でもまだわかっていなかった。

ただひとつ確かなのは、玲奈がこのままこの男たちのものになっていくことが、たまらなく不快だった。


玲奈の肌に、無数の手が這う。
指先が、頬を撫で、肩を這い、髪を引く。
それは優しさでも、愛情でもなかった。
ただの崇拝。

神を穢しながら、神を崇める愚かな信者たちの行為。

彼らは口々に囁く。
「お前は神だ」
「お前は我らのものだ」
「お前は決して壊れない」

玲奈は微笑んだ。
嘲笑ではない。諦めでもない。
ただ、そこに浮かべるべきものが、それしかなかっただけ。

彼らは玲奈を神と呼ぶ。
彼女を神聖なものと崇めながら、その神を貪ることを正当化する。
玲奈は「神」だからこそ、彼らの欲望のために存在しなければならない。
壊れてもなお、美しくあり続けることを期待され、
砕かれてもなお、微笑んでいることを強いられる。

玲奈の指先が震える。
それを見た男たちは笑い、歓声をあげる。
「見ろ、神が応えている!」

玲奈は、その言葉を聞いても何も感じなかった。
絶望も、怒りもない。
ただ、そこにいるだけの存在。
ただ、空っぽになっていく意識。

「私が神なら、なぜこんなに無力なの?」

誰に問いかけたわけでもない。
自分にすら届かない、形にならない声だった。

それでも彼女は微笑んだ。
なぜなら、それが「玲奈」である証だから。
神は微笑むものだ。
神は何も恐れず、何も拒まず、何も感じず、ただそこに在るものだから。

――そのはずだった。
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