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蛇の檻
第16章 『神の夜明け』
『玄蛇だけの神』

玲奈の足が、静かに床を踏む。
そこには何もなかった。

壁も、窓も、扉も、ただ闇に包まれた小さな部屋。
ここには、誰も来ることができない。
この世界で、玲奈と玄蛇以外の存在は、すべて閉め出された。

玄蛇は、玲奈を独り占めするためだけに、ここへ連れてきた。
玲奈を 誰のものにもならせないために。

玲奈は、部屋の真ん中に立っていた。
彼女の白い肌が、僅かな光を受けて淡く浮かび上がる。
その姿は、まるで闇に咲く美しすぎる幻のようだった。

玄蛇は、ゆっくりと玲奈に近づく。
彼女は逃げなかった。
何の抵抗もせず、ただそこに在った。

玄蛇の指が、玲奈の髪を梳く。
その指先には、微かな執着が滲んでいた。

「お前はもう、誰にも渡さない。」

囁くような低い声が、玲奈の耳元で落ちる。
それは誓いのようであり、呪いのようでもあった。

玲奈は、ゆっくりと玄蛇を見上げる。
その瞳には、何の動揺もない。
むしろ、彼の言葉を聞いて 微かに微笑んだ。

「……ふふっ」

小さな笑い声。
それは嘲笑ではなかった。

玄蛇は眉を寄せる。
玲奈の笑みは、どこか穏やかで、どこか寂しげだった。

玄蛇の手が、玲奈の頬に触れる。
玲奈は、それを拒むこともなく、受け入れる。
まるで、彼が何をしようと、どうでもいいとでも言うように。

「お前は……」

玄蛇が何かを言いかけた。
しかし、玲奈はその言葉を遮るように、静かに目を閉じる。

その仕草はまるで、神が人の祈りを聞き入れるかのようだった。

玄蛇の喉が、かすかに鳴る。
彼は気づいてしまった。

玲奈はもう、彼のものにはならない。

──違う。
そもそも、最初から玲奈は誰のものでもなかったのだ。

この部屋に玲奈を閉じ込めても、
どれだけ独占しても、
彼の手の中にあるのは、ただの「玲奈の存在」だけで、
玲奈そのものを手に入れたわけではない。

玲奈は、微笑んでいた。
まるで、この結末を知っていたかのように。

彼は玲奈を神とし、そして自らその信者となったにすぎない。
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