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夜に咲く名前のない恋人達
第2章 ホストクラブデビュー
「……っ、ひくっ……んくっ……」

ホストクラブのトイレに繋がる廊下で、ぷりんが一人で声を押し殺して泣いていると、足音が近づいてきた。

「なんで泣いてんの?」

ぷりんが驚いて顔を上げると、そこにいたのは、黒髪の可愛らしい爽やかなホスト。

司のビシッとしたスーツと違い、白のTシャツに黒のジャケットを羽織ったラフな格好のルカという男。

このジュリアの万年No.2のホストだ。

店の入り口やビルにデカデカとNo.2と顔写真があるのだから、ぷりんも名前だけは知っている。

そんなルカが困ったような笑顔で、こちらを見つめていた。

「……っ」

目が合うと、余計に涙が溢れそうになる。

ルカは、そんなぷりんに優しい眼差しを向けて、そっと頭を撫でてくれた。

「好きなだけ泣けばいいよ……」

そんな優しい声に、さらに涙が溢れ出す。

「う……ひっく…………」

ぷりんは涙を拭いながら、ルカに向かって歩み寄ると、そっと抱きしめてくれた。

「無理に我慢しなくていい。泣いたら、少しはスッキリするから……」

「うん……」

ぷりんはその時、脳裏に浮かんでいたのは、小学生の頃の記憶だった。


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