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夜に咲く名前のない恋人達
第2章 ホストクラブデビュー
ぷりんが小学3年生の頃の、夏休みの記憶。

「……っ、ひくっ……んくっ……」

夕暮れの公園で、滑り台の影に隠れるようにして、小さな女の子が泣いていた。

美緒(みお)

ぷりんの本名だ。

さっきまで遊んでいた友達に「男の子みたいな髪型」と笑われた。

伸ばしかけの髪を、母親に「邪魔でしょ?」と短く切られたばかり。

「伸ばしたかったのに……可愛いアイドルみたいに長くしたいのに……」

でも内気なせいで、友達にも親にも言えなかった。

「なんで泣いてるの?」

不意に、足音が近づいてくる。

「……え?」

顔を上げると、そこに立っていたのは瑛人(えいと)。

美緒の隣の家に住む、幼馴染みの男の子。

瑛人は初恋の相手であり、それより後に、異性に恋をしていない。

美緒が好きになったのは、元気な女の子のアイドルばかり。

自分もそんな元気な女の子に憧れていたからだ。

瑛人が心配そうに、美緒の顔を覗き込んでくる。

「誰かにいじめられた?」

「ち、違うよ……」

美緒が慌てて涙を拭うと、瑛人はしゃがんで、そっと彼女の頭を撫でた。

「美緒の髪、短くても似合ってるよ?」

「……ほんと?」

「ほんと。だからそんなに泣くなよ?」

瑛人はにっこり笑って、小指を差し出した。

「明日からは、また笑ってくれる?」

「……うん……」

「じゃあ約束……」

小さな指と指が絡む。

「指切りげんまん、嘘ついたら、針千本、飲〜ます……」

「……約束だよ」

瑛人は少しだけ照れくさそうに微笑んだ。

そんな瑛人はその日を最後に、美緒と顔を合わせる事なく引っ越してしまった。

母親の話では、瑛人は病気になって大きな病院のある都会に引っ越したらしい。

でも、美緒の記憶の中にはずっと残っている。

「指切りしたから、きっとまた笑顔で会える」

今でもそう信じていた。

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