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夜に咲く名前のない恋人達
第2章 ホストクラブデビュー
ぷりんは店内に戻ったものの、ルカのことばかり考えていた。

泣いてる時に声をかけてくれた優しさ。

下ネタ発言。

バカにしたような笑い方。

でも最後には、また優しい言葉をかけてきた。

ホストって、そういうものなの……?

ここに座っている間、姫やホスト達が何か話しかけてくれたかもしれないが、全く覚えていない。

そんな複雑な気持ちのまま過ぎたホストクラブでの時間。

数分後、姫の声が聞こえてきた。

「ぷりんはもう帰る? 明日もライブあるし、新人さんはお昼にビラ配りもあるんでしょ?」

「あ……はい。先に帰らせてもらいますね、姫先輩」

地下アイドルは、ライブの集客のために街頭でビラ配りをしないといけない。

自分のファンを一人でも増やすために。

「姫がお金出しとくから、気をつけて帰るんだよ? 送りどうする?」

「送り? なんですか、それ……?」

「送りってね。今日、気になったホストくんに、ビルの下まで送ってもらうんだよ?」

「えっ? 何のために……?」

姫はさっきまでのぷりんを見下していた表情を消し、急にプロのアイドルの顔になった。

「あなたの憧れだった心結が、ライブの帰りに出口で『今日は来てくれてありがとう』って言ってくれたら、嬉しくない? また会いたいって思わない?」



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