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夜に咲く名前のない恋人達
第2章 ホストクラブデビュー
しばらくすると、ルカが席に迎えに来てくれた。

「送り指名、ありがとうございます」

さっき通路で話していたときの、軽い雰囲気とは打って変わって、ルカは片膝を突き、ホストとしてのきっちりとした挨拶をする。

さっきまで友達みたいに話してたのに……

ぷりんは、姫もルカも、プロとしての切り替えがすごいと感心していた。

しかしそれと同時に、「No.2ホスト・ルカ」という肩書きが、少し距離を感じてしまう。

「ルカくん……忙しそうなのに、指名してよかったのかな……?」

「全然大丈夫。嬉しいよ。行こっか?」

ニコッと柔らかく微笑んで、そっと手を取るルカ。

指先が触れた瞬間、ぷりんの胸がドキッと鳴った。

心が揺らいだまま、ルカに手を引かれて、ホストクラブの重厚な扉を開ける。

エレベーターの前で立ち止まると、ルカが何気なく話しかけてきた。

「どうだった?今日、楽しめた?」

「……ううん、全然……姫先輩にはバカにされるし、ルカくんにも下ネタとか言われてバカにされたし……」

拗ねたように視線をそらすと、ルカがクスッと笑って、ぷりんの頭を優しく撫でた。

「俺、バカにしたつもりはないよ?ちょっと笑ってくれるかな?って思っただけ。あんなので怒るなんて、思わなかったもん」

「あんな話は、女の子に失礼ですよっ!!」

ちょっとだけ可愛く怒るつもりが、思ったより語気が強くなってしまった。

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