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夜に咲く名前のない恋人達
第3章 ルカと歩むアイドル道
数日後。

ふらっと#らぶのライブが終わり、ファン達まざわつくステージの下で、これから特典会が始まろうとしていた。

それぞれのメンバー達の前に、ファンが列を作っているが、ぷりんの前には、誰も並んでいない。

他のメンバーのチェキが終わった人が、来てくれないかな……?

誰か来てくれないかな……?

目が合った人に手を振ってみるが、視線を逸らされる。

どうにもならないで落ち込むぷりんの視界に、一人の男の姿が飛び込んでくる。

「これ……どうすればいいんだ?」

目の前に差し出されたのは、10枚のチェキ券。

「この声は……ルカくんっ!?」

ぷりんは驚いて顔を上げると、ルカが少し照れくさそうに笑みを浮かべていた。

出勤前にわざわざ来てくれたのだろう。

ルカの髪型もメイクも仕上がっているのが、その証拠だった。

「せっかく来たんだから、チェキ撮ろうか?」

その言葉に、ぷりんの目から涙が溢れ出る。

「ルカくん……私……頑張ってるのに……」

街頭で必死にビラを配って呼び込んだ客も、結局は姫に取られてしまっていた。

絶対的センターである姫のライブパフォーマンスに魅了され、そちらに流れていくのは仕方のないことかもしれない。

「今日は何人来てくれたんだ?」

ルカの優しい声が耳に届く。

「……まだ誰も……来てくれてないです……」

その瞬間、ぷりんは堪えきれず、手で顔を覆って泣いてしまった。

「お、おいっ!! 泣くなよっ。俺が泣かしたみたいじゃねぇかっ」

「ごめん……でも、来てくれたことが嬉しくて……」

涙を拭いながら、ぷりんは微笑んだ。


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