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好色なる一族
第8章 狂喜

夜になって芳子が経理の21歳の女の子を連れて帰ってきた。
「木下知子です」
と玄関先で挨拶されて大五郎もお辞儀した。笑顔が素敵で純情そうなお姫さま。肩までのストレートヘアは少し赤いカラーをしていた。
「テレビで見たことあります。官房長官されてましたよね?」
すっかり照れる大五郎。
「もう引退しましたから、ただのじじいだよ」
二人は笑った。
「芳子、食事はどうした?」
「してきました」
「そうか」
「じゃちょっと仕事があるんで」
そう言って二人は応接間に入った。
応接間に入ると芳子の顔つきが変わった。
「さあ、白状なさい。帳簿誤魔化したわよね?」
「いえ、そんなことはありません」
突然そんなことを言われて驚く知子。芳子は帳簿を開いた。
「この黒菱商事への支払いがされてないと電話があったわ」
「嘘です、これ私の字ではありません」
「だって経理はあなたに任せてるのよ」
「でも私の字ではありません」
これは芳子が書き足した架空の取引だ。
「この黒菱商事向けの123000円はどこへ消えたの?」
「違います。信じてください」
「警察沙汰にはしたくないの。正直に言ってくれれば大目に見るわ」
知子は考えた。謝って済むなら不本意だが謝ってしまおう。
「ごめんなさい。私が着服しました。すぐに返します」
「白状したね。さて警察行きましょう」
「お願いします。それだけは勘弁してください」
知子は頭を下げている。
「私の言う通りになるなら、なかったことにしてもいいわ」
芳子はにんまりしながら言った。
「言う通り?」
「そう。いいわね?」
「はい」
仕方なく知子は返事をした。
「木下知子です」
と玄関先で挨拶されて大五郎もお辞儀した。笑顔が素敵で純情そうなお姫さま。肩までのストレートヘアは少し赤いカラーをしていた。
「テレビで見たことあります。官房長官されてましたよね?」
すっかり照れる大五郎。
「もう引退しましたから、ただのじじいだよ」
二人は笑った。
「芳子、食事はどうした?」
「してきました」
「そうか」
「じゃちょっと仕事があるんで」
そう言って二人は応接間に入った。
応接間に入ると芳子の顔つきが変わった。
「さあ、白状なさい。帳簿誤魔化したわよね?」
「いえ、そんなことはありません」
突然そんなことを言われて驚く知子。芳子は帳簿を開いた。
「この黒菱商事への支払いがされてないと電話があったわ」
「嘘です、これ私の字ではありません」
「だって経理はあなたに任せてるのよ」
「でも私の字ではありません」
これは芳子が書き足した架空の取引だ。
「この黒菱商事向けの123000円はどこへ消えたの?」
「違います。信じてください」
「警察沙汰にはしたくないの。正直に言ってくれれば大目に見るわ」
知子は考えた。謝って済むなら不本意だが謝ってしまおう。
「ごめんなさい。私が着服しました。すぐに返します」
「白状したね。さて警察行きましょう」
「お願いします。それだけは勘弁してください」
知子は頭を下げている。
「私の言う通りになるなら、なかったことにしてもいいわ」
芳子はにんまりしながら言った。
「言う通り?」
「そう。いいわね?」
「はい」
仕方なく知子は返事をした。

