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仮)純粋にはほど遠く
第1章 50女のリアル

笑いがやっと止まったわたしは紅茶を一口飲んだ。
銀座の麗子はわたしが作り出した架空の女。
その話に乗ってくる千鶴ちゃんも面白い。
こうして他愛もない話をして現実を生きる私たち。
私たちの日常だって、ドラマには違いない。
美しいとはかけ離れ、わたしがその脚本にオリジナルを加えたら、もはや枯れた女のコントに成り下がる。
映画のように涙を誘う美しい純愛はそうそう世の中に転がってないのだ。
目の前でドーナツを頬張る千鶴ちゃん。
ホルモンバランスが崩れ、和彦と出会ってから20キロ太ったらしい。
レスの年月分、体重を蓄えてしまったのもリアル。
若い子みたいに太ってもいないのにダイエットに励み、モデル体型を夢見て鶏ガラのような脚を目指したり、綺麗な肌に原型がとどまらないほどの化粧を施したりするのも、いささか可哀想に思う。
なりたい自分になる努力は素敵。
でも度をこしたら痛い。
痛いおばちゃんになったわたしは開き直れるから、まだ楽かも。
靖幸というパートナーを見つけ、それが永遠なのだろうと思うストーリーを紡ぐ日々。
楽だけど面白味はない。

