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1995 Winter 俺の初体験の相手は32歳
第4章 I've fallen in love.
「そうだよ。前野ってクールというか、翳があるじゃん。薄幸そうな感じもあるし、何か訳アリって感じがするぜ」

藤木先輩も言っていた…。藤木先輩の言っていたことは、美濃里の話からすると、当たっている感じだった…。

ただ、先輩たちは、美濃里が結婚していることには気が付いていなかった…。たぶん、総務経理の課長クラスは、知っていたのかもしれないが…。

「冷たい感じと、翳がある、何を考えているかわからないってのは、ある意味、通じている部分もあると思うぜ」

竹村先輩もニヤついていた…。

「なるほど…。そういうことなら、興味が湧いて来たぜ。ミステリアスってことだろ?」

そう言って笑ったのは、永井先輩…。

「前野か…。俺はやっぱりパスだけど、攻略法だけ、教えてやるよ」

そう嘯いたのは、橋本先輩…。

「なんだよ。もったいぶりやがって」

藤木先輩が尋ねると、

「前野は、アルコールに弱いんだよ。社員旅行で、キリンだったかアサヒの工場でジンギスカン鍋をランチで食べて、ビールを飲んだら、大した量でもないのに、酔っ払って、バスの中で5時間も爆睡で、他の観光は一切パスだったよ。アレは、アルコールさえ飲ませたら、何とでもなるぜ」

と、話して笑った橋本先輩…。たしかに、その通りかもしれない…。どこから目が覚めていたかは知らないけど…。

というか、あの人たちなら、そんなこと関係なく、おっぱじめたら、やりまくりそうだけど…。

しかし、俺もヤバい会社で働いているものだと、あの時も思ったものだけど…。実際、俺もヤバい人間だと、美濃里で童貞を捨てたときに悟った…。

そう、男なんて、どんな皮を被っていても、オオカミなんだと…。

サーファーだろうと、スノーボーダーだろうと、ギタリストだろうと、バイカーだろうと、文学青年だろうと、ゲーマーだろうと…。

そんな表面は兎も角、皮が剥けて欲望が剥き出しになれば、そこにあるのは、亀の頭なんだと、俺は悟った…。


「前野さん…。こんなことを言ってはいけないかもしれませんし、誹謗中傷だと思われるかもしれませんが、男って、誰も皆、オオカミだと思います」

俺は真面目に、美濃里の顔を見て話した。
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