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1995 Winter 俺の初体験の相手は32歳
第5章 導かれし者
男が選んだから…。Tバックとか、シースルーみたいなエッチな下着が多かったのだ。わざわざ、それの下着があるところを教えて、選ぶように言った美濃里…。

俺が、喜ぶと思ったのかもしれない…。受け取ったショーツの片方を穿いた美濃里…。

「ブラジャーは?」

俺に尋ねた。

「え?要る?」

俺が答えると、笑って、

「サークルKにコンドームを買いに行かないの?」

と、美濃里は尋ねた…。

「俺が買ってくるよ」

俺が答えた。

「お腹が空いたわ。ついでに何か買おうと思っていたのに」

軽く口を尖らして拗ねる感じだった。

「一応、デザートは、寝ている間に買ってきたけど」

俺は冷蔵庫を開けて、まだ、食べていなかったデザートを見せた。

「気が利くわね。でも、これは食後にいただきましょう。一緒にサークルKで何か、朝食になるものを」

美濃里が俺の手を引っ張った。

でも、ブラジャーは?と、俺は思ったけど、考えれば、サークルKに行く前に、二階の美濃里の部屋に寄るだけで解決できることだった…。

そう思って、靴を履いて部屋を出ると、美濃里はコートを着ながら廊下で待っていた…。

「ブラジャーは?」

俺が尋ねると、

「別にいいわ。そこのサークルKに行くだけだし」

と、美濃里は笑っていた…。たしかに、コートを着ると、別段、ニットのワンピースが見えるわけでもない。

サークルKに向かって歩き始めた。年の瀬の午前4時過ぎ。

日の出は、3時間後。外は真っ暗…。

灯りはアパートの廊下の照明。

駐車場のポールライト。

開発道路の電信柱に設置された防犯灯。

途中にある家々の門灯。

この日は上弦の月だった。

俺たちが歩き始めたころには、月は沈んで見えなかった…。

誰もいない田舎道。

ビニールハウスや作業小屋、農家の甍が見えた。

「失踪宣告のあとは、どうするんですか?」

俺は躊躇いがちに尋ねた。

「え?」

いきなりの質問に、美濃里は戸惑ったようだった。

「そこまで考えていないわ」

なんとか、それだけを言語化したけど、なぜ、俺がそんなことを尋ねるのか、気になっているのはわかった。

「さっきも言ったけど、わたしと結婚したいとか思わないほうがいいわよ。不幸になりたくないなら」

美濃里は眉を顰めながら首を傾げて話した。
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