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1995 Winter 俺の初体験の相手は32歳
第10章 上書き保存
ただ、切り出し方が難しかった…。大学時代、一応、法学部だった…。民法も学んだ。

行方不明の夫との関係を清算する方法は、美濃里が言っていた失踪宣告以外にも、行方不明であることを理由としての離婚請求も可能だった。

美濃里の話した彼のコスプレ衣装に掛けて、

「捨てられないって言えば、前野さんは、どうして、行方不明の旦那さんと離婚せずに、失踪宣告を選んで、待っているのですか?離婚ならすぐできるのに…」

と、俺は尋ねた。実際、離婚なら、行方不明で住所地にいない夫に対して、離婚調停を経ずに、離婚訴訟を起こすことができるはずで、公示送達を申し立てることができる。当然、訴訟相手の住所に裁判所の種類を送っても、住所地にいない以上、夫が出頭するはずもなく、離婚訴訟は勝訴できる。そうすれば、すぐにでも離婚は成立するはず…。

もしくは、3年以上行方不明でも、悪意の遺棄で訴えれば、離婚は成立するはず…。

なのに、7年かかる失踪宣告を待つのか…。俺には疑問だった…。相続するような財産があるなら別だが、海外逃亡を図るような男に財産が有ろうはずもなく…。疑問しかなかった…。

美濃里の顔が曇った…。尋ねるべきではなかったのかもしれないと思った。

「夫のことが気になるのですね…」

それでも、美濃里が話し始めた…。

「わかっているのよ。単に名字をかえて、海外逃亡したいから、わたしと結婚して、名字をかえたと。だから、わたしに対して愛情も何もないだろうということは。結婚まで、あの人が言っていたことは、結婚するための方便だとわかっているの。でも…。もしかしたら、気がかわって、連絡があるかもしれないって思うと、離婚してしまいたくないの。連絡なんてないとわかっていても、わたしから切りたくないの…」

泣きそうな声で話す美濃里…。若い俺には、美濃里の気持ちはわからなかった…。ただ、美濃里の気持ちを弄ぶような行方不明の夫に怒りは感じた。

美濃里は何に未練があるのか?それが気になった。何か、未練があるから、自分から切りたくないと思い、時間を、期限を先延ばしにしているとしか思えなかった。

美濃里の周りに警察の影がないということは、警察は戻って来ないと判断しているということだ。だとすれば、待つのは徒労だ。

未練…。戻る可能性がゼロに近い男に未練…。

「未練か…」

思わず言葉になった。
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