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1995 Winter 俺の初体験の相手は32歳
第10章 上書き保存
「俺でよければ、なんでも力になるから、言って」

俺に言えたのはそれだけだった…。気の利いた言葉の一つ、頭に浮かばない愚か者だった。

「今晩も一緒にいて…」

美濃里はそれだけを言った。

同じ総務経理課の川田さんが同じ単身者向けアパートの二階。美濃里の隣の部屋にいて、いつも一緒だったらしい。

でも、家族がいる川田さんは、年末年始は、帰省していなかった。

その寂しさを紛らわせるのに、俺を必要としていたのかもしれないが、俺は、どんな理由でも美濃里と一緒にいたかった。

「今晩と言わず、ずっと一緒にいるよ」

俺の本音だった。美濃里が涙を拭いながら、微かに微笑んだように見えた。その美濃里を俺は抱き寄せた。美濃里は抵抗することもなく、俺に抱き着いてきて、俺の背中に腕を回して、頬を寄せてきた。

ピーピーピー

室内に響いた電子音。洗濯機が洗濯から脱水までが終わったと、伝えていた。

美濃里が、

「干さないと」

と、耳元で呟いた。

「あとでいいよ。どうせ、乾かないし、予備もシーツもあるから」

「そう?でも、すぐに干さないとにおうわよ」

美濃里はそう言ったが、離れる気配はなかった…。



なぜか、そのとき、俺の脳裏に、空港の椅子に一人、寂し気に座っている美濃里の姿が浮かんだ。気が付くと、目頭が熱くなり、涙が頬を流れていた…。

頬を寄せていた美濃里が、少し頬を離して、俺の顔を見て、

「どうしたの?」

と、尋ねた…。俺は、鼻をすすって、

「いや、別に…」

と、誤魔化したが、美濃里は、何かわかったように、頷いて、今度は、俺の胸に顔を埋めた。



悲しい思い出を消すことは無理だとしても、

「俺と楽しい時間を過ごそう」

と、俺は美濃里の髪の毛を撫でながら話した。見上げる美濃里。

「無理しなくていいのよ」

「無理なんかしていないよ」

俺がほほ笑むと、美濃里も微笑んでくれた。でも、その微笑みを消して、

「同情?」

と、俺の顔を見て確認した。

「好きだから」

俺は迷わず答えた。苦笑いした美濃里。

「何も知らないのに?」

「じゃあ、教えてよ」

俺は答えて美濃里を押し倒した。
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