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さくらドロップ
第4章 この病を治す方法を誰か教えて
 屋上へは普段出入りが禁止されていて、扉には鍵が掛かっている。なんてことは、もう数年前から建前だけになっていた。何度付け替えても鍵が壊れされるので、学校側も鍵を新しくする事を諦めていた。
 私が入学した頃には、もう既にそこは自由に出入りできる場所として、生徒みんなが知っていた。勿論、屋上に出入りをしている所を見付かれば、生徒指導室送りだ。また、始めはもの珍しくて通う子もいたようだけど、冬は寒くて夏は暑い、何にもない所なので、次第に足数は減っていくのだった。
 それでも時々、サボりの子の寝床や、告白の場所なんかに、使われているようではあった。
 なんの意味をなさない、形だけのバリケードを越え、久しぶりの屋上へ。出た途端風が舞い上がり、無遠慮に髪を撒き散らしていく。
 そろそろ四月も終わるが、今年はいつもより少し寒い気がする。こんな所で寝たら風邪を引いてしまいそうだ。早く見つけてお弁当を食べて欲しい。
 お目当ての子を探して見渡すが、殺風景な屋上には、人っ子一人いない。

「金髪くーん」

 呼びかけながらあっちへこっちへと覗いてみたが、彼の姿は見つからない。ふむと顎に手を当てて考える。あと探してない所といったら、と思って鉄の梯子を見る。お決まりといえばお決まりなのだが、あとは上という事になる。
 梯子はひんやりと冷たい。かんかんかんとリズム良く上がれば、案の定、仰向けに横になっている彼の姿があった。
 よいしょ、と上へあがりきる。急に風が強く吹いて、髪とスカートを遠慮なく巻き上げる。彼の髪も、制服の端々も、ひらひらと煽られているのに、当の本人は気にした様子もなく、安眠快眠、眠り続けていた。 

「おーい。そんな所で寝てると風邪ひくぞ」

 彼の傍に膝をついて呼びかけるも、勿論応じる声は返ってこない。体を揺すろうとして、伸ばした手が、少しだけ躊躇する。こんなにも無防備に横たわる彼。安易に触れてしまう事が、とんでもなくイケナイ事のような気がした。
 結局、伸ばした手は引っ込めて、声だけ掛けておく。

「ねー。もうお昼だよ。お腹すかないの」
「…………」
「お昼休憩あと何分あるのかなー。ご飯食べ損ねちゃうよー?」
「…………」
「あのコがおかず全部食べても知らないよ」
「…………」
「ちょっとまじ起きてよ…、どんだけ寝れば気が済むの」
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