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俺の瞳にうつしたいものは
第2章 2

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五限目。
イチゴ牛乳を味わいつつ
グラウンドを小さな人影がぐるぐる回るのを見つめていると
「しゅーんじ!、
藤成さんとどういう関係なの?」
いきなり後ろから抱きつかれて、吹き出しそうになる。
「……美咲、脅かすなよ」
「ごめんごめん」
(しかし、女の噂って怖えくらい回んのはやいな…)
「別になんでもねえよ、ただの幼馴染だけど」
「ふーん、ミキからメッセージきてて。
俊二が藤成さんのことで暴れたって」
「いや、本当にたいしたことねえから」
「ふうん……」
少し不機嫌そうな声。
「俊二は、あたしと付き合ってるって思ってたって
言われたよ」
「え?」
ピーーーーーーーーッ
「こら!磯崎!
まだランニングの途中だぞ!」
ホイッスルの音とともに、体育教師が美咲を呼ぶ。
「あーあ、じゃあまた週末会おうね、俊二」
「お、おう」
俺の頬を突いて、笑顔で駆けていく美咲。
美しく脱色された金色の長い髪が、日差しに照らされて輝くと、
脳裏にひとみの黒髪が対照的に揺蕩う。

