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俺の瞳にうつしたいものは
第3章 3


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Tシャツに着替えて階段を降り、バイクにキーをさす

グリップを握って跨ろうとした時だった

「あれ、俊くん?」

背後から聞き慣れた穏やかなトーンの声が聞こえた。

「あ……」

振り返ると
髪をゆるく束ねた中年女性が手を振っている

ひとみの母親の里見さんだった


「ご無沙汰してます」

「元気そうでよかった、背も伸びて……」


「あの
ひとみは……元気ですか」

軽く会釈しながら、気まずさを飲み込んで尋ねると
里見さんは寂しそうに笑う

「ごめんね。

あの子、なかなか学校行かなくて……
聞いても何も教えてくれなくて。
俊くんにも会わないなんて、困った子ね……」


「いや、俺の方こそ……

何もできなくて」



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