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淫らに舞い堕ちる花びら 宮澤舞凪
第2章 蘇る記憶
去年の冬と今年の春に買ってもらったブラジャーは、A65。

でも、今は、アンダーが70.8でトップが88.5だから、D70。サイズアップにもほどがあると思った舞凪。

洗面化粧台の鏡を見てため息を吐いている舞凪に、

「どうしたの?ため息なんてついて」

と、声を掛けたのは母。鏡に映る娘の姿を見て、

「あら、大きくなったわね。新しいブラジャーを買わないといけないわね」

と、話した。そういう母の胸は大きい。ということは、これは遺伝?

「お母さんは何カップ?」

舞凪が聞くと、

「お母さん?お母さんは、F75よ。舞凪も、将来的には、お母さんくらいになるかもね」

と、笑う母。

「え~やだぁ」

と、舞凪が言うと、

「大きい方がいいわよ。小さいと『貧乳』とか馬鹿にされるし、男性の大半は大きい方が好きだから」

と、ケラケラと笑う母。

「そうなの?」

と、聞くと、

「そうよ。『おっぱい星人』という言葉を知っている?男性の大半は、そういう人種。そもそも、ヒップとバストは、セックスシンボルなのよ。動物の大半は、ヒップがセックスシンボルなのだけど、人間は二足歩行するようになって、胸が大きくなるようになったから、セックスシンボルになったの。ある意味、進化の証明よ」

と、話す母。保健体育か、生物の授業だったかで習った記憶はあった舞凪。それはそうだけど、今は大きくなって欲しくない。それが舞凪の本音だったけど、母があまりにも楽観しているので、言い出せなかった。

浮かない顔をしている舞凪を見て、

「今日は災難だったわね。舞凪がお風呂に入っている間に、警察の方から連絡があったわよ」

と、母が話し始めた。

「あの男性、74歳なのだそうよ。舞凪のお祖父さんと同じ年ね」

笑う母。確かにオジサンは歳をとっている感じがあったけど、74歳だとは思わなかった舞凪。

「警察の方の話だと、『あまりにも魅力的過ぎて、自分の年齢を忘れて、年甲斐もなく燃え上がってしまった』と反省しているそうよ」

母は、呆れた様子で笑って、

「そうよね。いい年して、中学生に痴漢するなんて、本当、呆れるわ」

と、話しながら舞凪を見て、

「魅力的なのよね。そのバストが。新しいブラジャーを買わないとね」

と、微笑んだ。舞凪も苦笑するしかなかった。
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