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第5章 見られて

駅のホームで電車を待つ舞凪。その周辺を徘徊したり、舞凪の様子を窺ったりする男たち。ホームに立つ舞凪の後ろ姿をジッと見つめる男。横に立って、電車がホームに来るわけでもないのに、ホームの先を見るふりをしながら、舞凪の姿を横から見つめる男。通勤途中に見かけて集まるというよりは、明らかに、舞凪の時間に合わせて、どこからか集まってくる男たちが増え、ホームに立つ男の人数が増え、しかも、舞凪の立っている周辺に集まっているという異常な状態になっていった。

バスから降り、改札口を抜け、階段を下り、エスカレーターに乗って登り、ホームに現れる舞凪。エスカレーターの上に位置するホームにはエキナカコンビニや待合室、自動販売機コーナー。そのあたりに屯する男たちと、改札前で待っていて、舞凪が通り過ぎると、あとをゾロゾロと歩く男たち。

舞凪より、周囲の人たちの方が、その異様な光景に驚く有様。舞凪がバスを降り、改札口を通ると、少し離れて、10人ほどの男。そして、舞凪がエスカレーターに乗って登ったホームにも、10人ほどの男。合わせて20人ちょっとの男が、舞凪が並ぶ〇〇印の後ろと、少し後方の位置や、隣の〇〇印の辺りに並び、同じ車両に乗り込む。あとは、待合室の付近から、駆け込む男が2人か3人。舞凪は〇〇印の最前列か二列目にいて、英単語や化学記号のカードを見たり、リスニングを聞いていたりで、後ろの様子はわからない様子でした。それだけの男が周囲に徘徊すると、他の乗客は混んでいる舞凪の周辺から遠ざかりました、それに、異様な集団に巻き込まれたくない乗客も。

乗車率はそれほど高くない時間帯。しかし、舞凪の乗る車両は若干、混み気味。そして、交錯し合う男たち。その男たちの視線が集まる舞凪。

舞凪もさすがに気が付きました。周囲にいる男たちの視線に。そして、その数に。



え、なんなの？この視線。みんな、わたしを見ている？もう、大きくないよね。



そう思いながら、視線を下げ、自分の胸を確認する舞凪。小さく見えるブラジャーのお陰で、EカップのバストもCカップ程度に見えているはず。

なんか、こんなに見られたら、恥ずかしい。視線の怪しい男たち。その視線が突き刺さるように痛い。気になる前は、気になっていなかったのに、気になりだすと、気になって仕方のない視線。