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第53章 梨果と美幸、友也と奏音

「……こんにちは。」

「み、美幸さん……」

「お久しぶりです。腕、すっかり治ったのですね。」

あれからさらに一週間が経っていた。

「すっかり元通りだよ。これも美幸さんのおかげだよ。」

「そんなことないです……」

「……」

あんな出来事以来の顔合わせなので少々気まずい。

「一緒にショーウインドーを見ましょう。」

「あ、うん……」

美幸に促され店外に出る。

店のショーウインドーには例の大手学習塾の生徒募集のポスターが貼ってあり、梨果と美幸、その他エキストラの子どもたちとの授業風景が写し出されていた。

「これがこの間撮影した……」

真ん中でセーラー服の梨果が挙手をしていて、その奥にブレザー制服の美幸がいた。

「……梨果ちゃん、やっぱり可愛いです。知的な顔立ちが塾の広告に合っていたのでしょうね。」

「美幸さんも可愛いよ。」

「もういいです。そういう勘違いすること言うのは反則です……明らかに梨果ちゃんが主役です。」

「えっ？」

ガヤガヤと３人娘と真田氏も外に出てきた。
すれ違いに美幸は一人店内に戻ってしまった。

「美幸ちゃん……？」

梨果は美幸の後ろ姿を見送っていた。