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第78章 梨果の大立ち回り

4月

「２人共とうとう中学三年生だね。」

「友也くんは中二病が治ってないけどね。」

「いやいや中二病じゃないから！」

新しい学年の始業式を終えた日、三人で夕食を囲む。

「あ！もうすぐだよ。環七先生楽しみだね。」

友也がテレビをつける。

今夜から始まる国民的学園ドラマ“環七先生”の新シリーズの放送が間もなくだった。

「美幸ちゃんどんな演技するんだろうね。」


『先生！質問です。ここはどう解けばいいですかぁ？』

『そっか！そういうことねっ。解らない所は徹底解説っ！最強の講師陣が私たちを迎えてくれます！』

『私も河海塾でワンランク上を目指せましたっ。』

『高校受験なら河海塾っ！みんなも一緒に学ぼっ！』

テレビから例のCMが流れた。

「えっ！？このCMまだ放送されるんだ！恥ずかしー。」

河海社長は逮捕されたが、今まで通り“環七先生”の番組スポンサーを河海塾が継続していた。

「それにしても一連の事件が明るみになるキッカケを作った梨果さんが出演するCMが続投されるなんてね。」

友也が疑問に思うのも頷けるが、実はそれには訳があった。

河海塾の新社長は創立以来初の世襲ではない人事となった。そして広報部長だった大久保は専務取締役に昇進し、風通しの悪い河海家の親族を取締役から退かせたらしい。

しかも大久保は、全裸で大立ち回りをした梨果をたいそう気に入ってしまったようで、これからの広告にも是非にと逆に懇願されてしまったのだ。
大久保は前社長の悪行とは無関係な誠実な人物なので梨果と相談し、まぁ良しとしようということになった。