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愛の笛
第11章 葉子との再会

「くそっ!葉子、お前が好きなんだ!
愛しているんだ!俺を残して逝かないでくれ!!」

草薙は渾身の力を込めて葉子の胸を叩いた。
ミシっと音がして胸骨が骨折したのは間違いない。
それと同時に「うげっ!」と葉子の口から大量の水が吐き出された。

「葉子?!」

指で頸動脈を押さえると、微かだが心拍が戻ったのかトクトクっと指に血流が戻ったのを確認した。
口元に耳を近づけると、弱々しいながらも呼吸も確認できた。

「草薙さん!越中さんが訪問団が乗ってきたヘリコプターをこちらに回してもらうと下流に向かっています!
きっと越中さんならヘリをこちらに向かわせてくれるはずです!」

越中は責任感の強い男だから、
葉子を叩き起こせなかった事を悔やんでいるのだろう。
その責任感から自分の身も省みずに濁流の中に飛び込んだのだろう。

だが、仮に彼がヘリポートにまでたどり着けたとしても、
この豪雨では飛ばすことなど不可能だと思えた。

「頼む!天よ!雨を…雨を止ませてくれ!
俺にとって彼女は自分の命よりも大事な女性なんだ!
散々遊びまくった俺の言葉など信憑性もないかもしれないけれど、彼女がいないと生きてゆく張り合いがないんだ!」

天に向かって大声で呼ぶ草薙の思いが通じたのか、
雨は小康状態になり、うっすらと東の空が明るくなってきた。

丁度そのタイミングでパタパタパタとヘリコプターの音が聞こえてきた。

「来てくれた!葉子、ヘリがやってくるぞ!
しっかりしろ!絶対に助けてやるからな!」

ヘリは宿舎の上にホバーリングをして、
草薙と葉子を引き上げた。

「このままビアンカ国の首都に向かいます。
この辺境の地では病院などないけれど、首都に向かえばそれなりの病院があるはずです」

操縦士は二人が収納されたのを確認すると
全速力でビアンカ国の首都に向かいはじめた。

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