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誰にも言えない、紗也香先生
第3章 謎の女、ファンタシーの扉

深夜――
ふと目を開けると、ベッドには私ひとり。
けれど空気の中には、まだリザの香りが、淡く、深く残っていた。
あたたかな気配だけが、余韻のように胸を包んでいた。
(夢じゃ……なかったんだ)
カーテン越しの月明かりに導かれるように、私はゆっくりと部屋のドアへ歩いた。
静かに開けると、そこには微笑むメイドが待っていて、
私のドレスが丁寧に差し出された。
私は黙って袖を通し、
まだ体に残る熱に戸惑いながら、ヒールを履く。
地下駐車場では、黒いハイヤーが静かにエンジンを鳴らしていた。
後部座席にひとり――
窓に映る夜の街の灯りをぼんやりと見つめながら、
私はまるで昨日とは違う世界にいるような感覚に包まれていた。
部屋に戻って、ゆっくりとドレスを脱いだ。
鏡の前に立つ。
その中には、もう“先生”だけじゃない“私”が映っていた。
素肌に残された、浅く、淡い赤の痕。
(……リザ)
指先で、そっとなぞる。
甘く、疼くような記憶が体を駆け抜ける。
(この夜の、蝶の舞……)
今も、私の中で羽ばたいている。
小さく震える脚。
ほてった頬。
初めての感情と、初めての自分。
これは、始まりだった。
ほんの、小さな――
一歩。
でも、確かに踏み出したの。
(行くよ、サヤ。まだ知らない私の世界へ)
ふと目を開けると、ベッドには私ひとり。
けれど空気の中には、まだリザの香りが、淡く、深く残っていた。
あたたかな気配だけが、余韻のように胸を包んでいた。
(夢じゃ……なかったんだ)
カーテン越しの月明かりに導かれるように、私はゆっくりと部屋のドアへ歩いた。
静かに開けると、そこには微笑むメイドが待っていて、
私のドレスが丁寧に差し出された。
私は黙って袖を通し、
まだ体に残る熱に戸惑いながら、ヒールを履く。
地下駐車場では、黒いハイヤーが静かにエンジンを鳴らしていた。
後部座席にひとり――
窓に映る夜の街の灯りをぼんやりと見つめながら、
私はまるで昨日とは違う世界にいるような感覚に包まれていた。
部屋に戻って、ゆっくりとドレスを脱いだ。
鏡の前に立つ。
その中には、もう“先生”だけじゃない“私”が映っていた。
素肌に残された、浅く、淡い赤の痕。
(……リザ)
指先で、そっとなぞる。
甘く、疼くような記憶が体を駆け抜ける。
(この夜の、蝶の舞……)
今も、私の中で羽ばたいている。
小さく震える脚。
ほてった頬。
初めての感情と、初めての自分。
これは、始まりだった。
ほんの、小さな――
一歩。
でも、確かに踏み出したの。
(行くよ、サヤ。まだ知らない私の世界へ)

