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誰にも言えない、紗也香先生
第2章 3回目のレッスン
右耳に――ふわりと、何か柔らかいものが触れた気がした。
え?って思う間もなく、感覚が残る。

……いまの……舌……?
そんなはず、ない。きっと勘違い……でも……

確かめる勇気なんて、私にはなかった。
だから私は、そっと目を閉じた。
見てしまえば、もう戻れない気がして。

でも、見なくても感じてしまう。
彼の吐息――
熱くて、甘くて、耳に、首に、肩に落ちてくる。
恥ずかしい。怖い。
でも、逃げられない。

心がじんわり、溶けていく。
私の中で、教師という輪郭が
ふわりと霞んでいくのが分かる。

(ねぇ……勇くん、お願い……やさしくして)
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