この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛染明王の御前で
第5章 第五話

一度漏れ出した尿は、止めることが難しい。
ちょろちょろとした流れのうちにトイレに駆け込まなければならない。
「あのぉ、申し訳ないのですが、お手洗いを拝借できないでしょうか?」
「あら、お手水?案内するわね。こっちよ」
住職の妻は先ほど来た廊下と、御本尊を挟んで反対側の扉を開けた。
同じような廊下が続いていた。
その廊下の床もまた冷たい。
思わず「ひっ」と声を上げてしまいそうになる冷たさだ。
「うちは寒いから、女性には辛いわよね」
「は、はい…」
しゃなりしゃなりと進む藤乃を梢は追い越したい気持ちだったが、トイレの場所もわからない。
もう限界が来ていた。
内腿に一本の流れがくるぶしを過ぎ、床にポツポツと尿が垂れてしまったような気がした。
しかし、振り返る余裕もない梢は藤乃の後を追う。
いつもはパンツスタイルでアルバイトをしていた梢だったが、初夏を思わせる陽気に誘われ、スカートを穿いていた。
もしパンツだったら…と思うとゾッとすると同時に、そのゾッとした気持ちが尿意を助長する。
加えてデニールの細いヌードベージュ。
20デニールでは防寒の意味はない。
「ここよ」
木で出来た引き戸を開けると、個室が5つ並んだ広いトイレだった。
「あ、ありがとうございます!」
梢は挨拶もそこそこに個室のドアを開けた。
ちょろちょろとした流れのうちにトイレに駆け込まなければならない。
「あのぉ、申し訳ないのですが、お手洗いを拝借できないでしょうか?」
「あら、お手水?案内するわね。こっちよ」
住職の妻は先ほど来た廊下と、御本尊を挟んで反対側の扉を開けた。
同じような廊下が続いていた。
その廊下の床もまた冷たい。
思わず「ひっ」と声を上げてしまいそうになる冷たさだ。
「うちは寒いから、女性には辛いわよね」
「は、はい…」
しゃなりしゃなりと進む藤乃を梢は追い越したい気持ちだったが、トイレの場所もわからない。
もう限界が来ていた。
内腿に一本の流れがくるぶしを過ぎ、床にポツポツと尿が垂れてしまったような気がした。
しかし、振り返る余裕もない梢は藤乃の後を追う。
いつもはパンツスタイルでアルバイトをしていた梢だったが、初夏を思わせる陽気に誘われ、スカートを穿いていた。
もしパンツだったら…と思うとゾッとすると同時に、そのゾッとした気持ちが尿意を助長する。
加えてデニールの細いヌードベージュ。
20デニールでは防寒の意味はない。
「ここよ」
木で出来た引き戸を開けると、個室が5つ並んだ広いトイレだった。
「あ、ありがとうございます!」
梢は挨拶もそこそこに個室のドアを開けた。

