この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第20章 呪いの侵食

「クク……やっぱり心中穏やかとは言えないか? 鬼王さま」
大蛇は余裕の笑みを浮かべて鬼を挑発した。
「けれど気を付けなよ。あまり乱暴しすぎると、奴らを巻き込んで呪いが広がる」
「…っ…!?鬼王さま!」
白蛇の拘束から抜けた式鬼が叫んだ。
「呪いが此処へ集まっております。四方を囲まれました!」
「……」
(ああ……不愉快だ)
周りが再び騒がしくなる。
花街の建物の影から、次々に飛び出してくる呪われたモノノ怪たち。殺してはならないと知りながら、焦って返り討ちにするモノノ怪も多い。襲われて倒れる者も増え、血と絶叫が花街を埋め尽くす。
だが、それらは鬼の関心の外だった。
(腹立たしい……)
ああ……気に喰わない
今はただ……
(コイツの存在が、気に喰わない)
大蛇のほうへ、鬼がゆっくりと横顔を向ける。
爪を剥き出した指が…バキバキと音を鳴らす。

