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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第22章 輪廻

「貴様はっ……いったい何が目的なのだ?」

 そんな相手を気味悪がり、式鬼が鋭く問う。

「ハッ……目的? くだらない」

 大蛇は青い血をペロリと舐めとり答えた。

「目的なんかで動けるか…!俺たちはどこまでいこうとモノノ怪だぞ? 行動思考にたいした意味は持ち得ない」

「鬼界に呪いをばらまいておきながら…何の目的も無いと申すか」

「無い」

「貴様…!」

 式鬼が苛立ち、爪を振り上げる。


「黙れ」


 そこへ鬼のひと声が飛んだ。

 大きくなく、威圧もないが、決して逆らえない覇気をまとった声だった。

 式鬼と大蛇は本能的に息を呑み、動きを止める。花街の空気が、鬼の声に凍りつく。


 今、鬼にとってはあらゆる音が耳障りだ。

 鬼は抱き上げた巫女の顔をじっと見つめていた。

 彼がいくら、命が消えた感触を噛み砕こうとしても…それは容易にはできないというのに。

 硬くなっていく肌
 閉じて動かない瞼
 吐き出した血に濡れた唇

 ぶらりと垂れた腕
 地面をかすめる黒衣の裾


「……」


 彼はゆっくりと歩き出す。

 広い背中は毅然(キゼン)としていながら、その足取りは重く、彼女を失うことをいつまでも拒んでいる。

 死んだ女を大事に抱える其の所作には──他ならぬ、敬意と愛惜、それゆえの、王たる風格が宿っていた。




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