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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第22章 輪廻

コォォォォォォ.....
「………?」
すると不意に、背後に捨て置かれた天哭ノ鏡が不思議な光を映した。
月光のような光が、鏡の表面で揺れ、静寂を破る。
「なん、じゃ……あの鏡」
ふたりを見守っていた玉藻(タマモ)が、鏡の異変に気づき、目を大きく見開いた。
「様子が変じゃぞ…っ」
その光は、地底湖から湧き出る泡のように、ぽこぽこと鏡から浮かび出た。
先程の呪いを祓った力強さはない。空気の動きで弾け消えてしまいそうな危うさで…いくつも浮遊している。
光の泡は次々に増え、鬼と巫女の周りに集まり始めた。
泡は鬼に触れ、巫女の冷たい肌を優しく撫で、ふわりと漂う。
花街の闇が、光に照らされ、柔らかな輝きに染まる。
(なんだコレは……)
鬼と巫女は光に満たされた。
温かい。光の泡が、まるで命の鼓動のように脈打ち、彼女の身体をそっと持ち上げる。
フワッ.....
そこで突然、巫女の身体がフワリと宙に浮いた。
鬼の目の前で浮遊し、高い位置まで運ばれる。
光の泡が彼女の周りをくるくると飛び、まるで母親の周りで無邪気に走り回る子どものように舞う。

