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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第22章 輪廻

鬼は眩しさに目を細めた。
光は徐々に明るくなり、巫女の身体を完全に包み込んだ。
黒衣がふわりと揺れ、彼女の姿が神聖な輝きに溶ける。
『 わたしの‥‥名前、は‥‥‥ありません 』
「──…!」
次の瞬間、鬼の中で、あらゆる事象が腑(フ)に落ちた。
……そうか
そうだったのか
「………巫女、お前が、そうだったのか」
毎晩その身に強い妖気を注ごうとも正気を失わず
自我を保ち続けていたのは──
彼女に触れるたびに沸き起こる
この離れ難い衝動は──
「八百年──…、ついに、見付けたぞ」
鬼の言葉に応えるように、光に包まれた巫女の目が……ゆっくりと開かれた。

