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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第22章 輪廻

琥珀色を宿した巫女の瞳が、静かに鬼を見つめ
長く艶やかな黒髪が、生成(キナリ)色へと染まっていく。
それから仰向けで浮いていた身体を起こし、凛として空中に立った。
「──…」
彼女の黒衣がふわりと巻き上がると、その裾から現れたのは
幻想的に長く伸びる──九本の白尾だった。
「巫女がっ…巫女が変化した……!?」
下から見上げる玉藻は、一連の現象に呆気にとられた。
彼女の肩を借りて立つ影尾(カゲオ)も、同じ反応である。
「巫女のあの姿は、" アレ " は、人間じゃない…!
そうだ、モノノ怪だ…!巫女の正体はモノノ怪だ」
影尾は目を大きく見開き、声を震わせる。
「しかもあの姿は…! オレたち狐族の最高位っ…。
千年生きた狐が修行の果てにたどり着き
神の遣いとして霊的な力を得たとされる存在…──」
・・・・
「天狐(テンコ)だ」

