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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第24章 終章──いつの日か



 ガシッ──!



「キュッ!!」

「手間をかけさせるな……痴れ者が」

「‥‥‥!(ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ ガタ)」

 しかし鬼が飛んだ狐の尾を捕まえ、宙ずりにした。

 狐は、ぶらんぶらんと揺れながら、従者姿のその男を見た途端、毛を逆立てて震えあがった。

「ひぇっ、ひぇ‥‥!? まさか、その妖気は鬼王さま‥‥‥!?」

 獣耳の少女はというと、逃げる前に腰をぬかしたらしい。ぎらりと鬼に睨まれて涙ぐむ。

「殺気を出すのはやめてください……もう」

 そんな少女の背を撫でて、隣の巫女がため息をついた。

「あなたたち、影尾(カゲオ)と玉藻(タマモ)ですね」

「…っ…え、あ、あ、あ! 巫女!」

 巫女に気付いた玉藻が、心底安心した笑顔を見せる。

「なんでじゃ? なんで巫女がここにおるんじゃ??」

「それはこちらのセリフです……って! もう影尾をおろしてあげてください! 気絶しそうです!」

「……チッ」

 巫女に言われて、鬼は影尾を地面に落とす。

 鬼の殺気で意識が飛びかけていた影尾は、よじよじよじ…と巫女に近付いた。

「久しぃのう。鬼界でわれらを助けてくれたぶりじゃあ。あ、これ巫女も食べるか? 影尾がバカな人間を化かしてとってきた」

 玉藻は無邪気に巫女との再会を喜び、包みを彼女へ渡す。


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