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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第24章 終章──いつの日か

 巫女が桜餅を手にはにかむと、鬼は木の幹に背を預けて座った。

「座れ、ここへ」

 あぐらをかいて座った鬼は、自分の上に座るよう巫女をうながした。

「どうせお前はまた、旅の汚れがどうとか気にしだすのだろう」

「……っ」

 鬼がそう言うので、巫女は彼の足の上へ遠慮がちに腰を下ろした。


 グイッ!


「……//」

 鬼が彼女の腰を引き寄せ、小柄な身体が鬼の腕にすっぽりとおさまる。

(相変わらず、距離感がおかしい……)

 巫女は緊張をさとられないように気を付けた。

「あなたも食べませんか?」

「俺がか」

 巫女が問うと、鬼はあまり気乗りしない表情で返した。

「甘くて美味しいですよ」

「……ふん」

(何故俺が甘い菓子を好むと思っているんだ、この女は)

「……まぁよい、ちぎって渡せ」

「はい、どうぞ」

「──」

「……ぁっ」

 巫女がひと口ちぎった桜餅を差し出すと、鬼は彼女の手首を掴んで指ごと口にいれてしまった。

「あ、あの……//」

 彼女の指についていた餅米まで、鬼の口内でしっかりと舐め取られる。

 彼女の頬がパッと赤く染まれば、鬼はその顔をしっかりと観察したうえで、明後日の方向を見た。


「お前のほうが甘い……」


「……//」


 そんなことをボソリと呟く。



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