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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第7章 清めの水

「望みがあるなら、叶えてやらないこともない」

 その言葉に、彼女は顔を上げた。

 鬼の瞳は相変わらず冷たく輝いているが、そこに嘘はないように思えた。

「望みを…?」

「そうだ」

「人の世に、帰していただけるのですか?」

「それはできんな」

 彼女が望むことなんて、そのひとつしか無いだろう。

 だが鬼は即座に断った。この男は本当に、人の気持ちが理解できていないらしい。

 彼女は一瞬考え、それから弱々しい声で呟いた。

「……せめて、身を清めたい」

 それを聞いた鬼は彼女をじっと見つめた。

「清め?ナニカ儀式でも始める気か?」

「特別な道具はいりません。冷たい水を……ただ、それだけを用意してくださるなら」

「水か」

 彼女の返答が予想に反して面白くないものだったので、鬼はつまらなそうに鼻を鳴らした。

「……まぁ、良しとする」

 巫女を抱く手を彼女の背中にまわす。

「川が近くに流れている。運んでやろう」

 彼はそう言うと、巫女を抱えたまま立ち上がり、屋敷の戸を開けて外へ出た。

 夜の冷気が彼女の裸の肌を刺し、身を震わせる。鬼の腕の中で小さく縮こまる彼女を、彼は無言で運んでいく。

 やがて、茂る木々の奥に滝が現れた。

 水音がサラサラと静かに響き、月の光が水面に反射して揺れている。

 辺りは深い闇に包まれ、足元さえ定かでない。鬼が片手で軽く指を鳴らすと、青白い鬼火が水面近くにふわりと浮かび上がり、周囲を不気味に照らした。

「こ、ここで、おろしてください」

 巫女は滝の前で足を地面に付けた。

 腰にまわされた男の手をはらい、冷たい水辺に足を踏み入れる。


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