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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第11章 天哭ノ鏡

 場面が変わり、奥の間の暗闇を歩く鬼の姿があった。

 屋敷の深い闇は、まるで彼の心そのものを映し出すかのようだ。

 長い銀髪が揺れ、漆黒の着物が闇に溶け込む。足音だけが冷たく響き、静寂を切り裂く。


 ....ガタッ

 ギィィィィィィ──


 ふと、彼が近づくと、床の一角に隠された跳ね上げ式の戸が、ギィと低く軋む音を立てて開いた。

 隠し扉である。

 戸の下には石造りの階段が続き、湿った空気が彼の髪を巻き上げた。

 鬼はそこを無言で降りていく。

 階段の先は、まるで時間の流れが止まったような、冷たく重い空間だった。


 シン────


 その中央には、一つの鏡が祀られていた。


 天哭ノ鏡(テンコク ノ カガミ)


 その表面は、暗闇の中でも不思議な光を宿し、まるで星屑(ホシクズ)を閉じ込めたかのように輝いている。

 鏡台は黒漆に塗られ、繊細な金蒔絵が月と流水の文様を描き、神聖な調度品を思わせる荘厳さがあった。鏡の周囲には、かすかな霊気が漂い、空間そのものが生きているかのように脈動している。

 鬼が鏡の前に立つと、その表面に風景が映し出された。

 人界の風景だ。遠くの山々が連なり、川が静かに流れ、人の住む里の灯りがちらつく。夕暮れの空には茜色の雲が流れ、田畑には稲穂が揺れている。

 まるで生きた絵巻物のように、風景はゆっくりと動き、どこか懐かしい空気を漂わせていた。

 だが、その美しさは、鬼の心に安らぎを与えるどころか、深い焦燥を掻き立てるだけのようだった。




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