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正義と道徳のアクメ
第8章 (最終話)何だか、新婚初夜みたいだね!
 もう、信じられるのはお互いだけ。信じられるのはこのセックスの気持ち良さだけだ。
「たまには…はうぅんっ!こ、こういう…優しいのも良いかも…」
「俺はもともとこういう…優しいのが好きなんだけどな…」
「それじゃあ、まるで私が乱暴なのを求めてるみたいじゃない…」
「そうじゃないのか?」
「それも好きだけど…あぁっ!こういう優しいのがやっぱいいな…」
 どこまでも柔らかな粘膜に血の詰まった皮膚の逞しさを丁寧に伝えていた学だったが、次第にそのスピードを急ピッチで上げていく。それは、己の成長を、変化を、未来を見せつけるような、地に足のついた激しさだった。
「あっ…すごっ…イイっ!やっぱ…お、奥に…あぁぁ!メッチャ当たってるぅっ!」
「い、いつもよりもゴリゴリ当たってるのが分かるぜ…もう、ヤバいかもっ…!」
「学さんっ…?私って気持ちイイ…?私の身体…はぁぁんっ!き、気持ちイイかなぁっ…?」
「あぁ…死ぬほど気持ちイイよ…何だか俺ごと…くぅぅっ!溶けて…啓子さんになっちまいそうだ…」
「何ソレ…んぁぁっ!んぅっ…ああぁっ…!」
「お、俺のってそんなに…気持ちイイのか…!」
「うんっ…気持ちイイよぉ…私もう、学さんじゃなきゃ…」

 ドン!ドン!
 とその時、玄関の鉄扉が拳に強く叩かれる音が部屋の中へ響く。

 俺たちは繋がったまま周囲をキョロキョロと見回し、息を殺して見つめ合った。
 ドン!ドン!ドン!
 まるで憤りを伝えるような拳骨の固さでまた、鉄扉が叩かれる。
 俺の右手はスタンガンを探して彷徨うが、すぐに息切れを起こして彼女の汗ばんだ肌へ戻った。そして、そのまま隠れるように彼女の首元に顔を埋めると、どういう訳か母親みたいな匂いのするその肌にさらに顔を押しつけていた。
 そんな俺の頭をそっと柔らかく包み込む彼女の細い腕に、「うっ」と喉が幼く鳴りやがる。
 おそらくそれは、幼少期の頃に精神が壊れぬよう心の屋根裏へ投げ込んだ筈の感情───

 ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドンっ!
 逃さない。
 とでも言うようにその音は饒舌に語りながら部屋の中へ次々と土足で踏み込んでくる。
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