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Memories of 1994 露出少女A
第1章 出会い
「先生、もう塾に来ないの?」

と、聞く路子。人懐っこい女児だった。といっても、塾で、何かを話した記憶はなかったが。そう、夏期講習のとき、困っている風だったから、

「何かわからないことがあるのかな?」

と、声を掛けた記憶があったくらいだった。それくらい、話しかけてくるということはなかった。

それが、大学祭のときは、言葉数は多くはなかったが、妙に、話題を探して話しているように感じられた。

「冬期講習は行くかもしれない」

と、俺は、答えた。塾の方からは「来てくれ」という催促を受けていたが、明確な返事はしていなかった。それと、塾の方からは、通常の授業の依頼も来ていた。正規職員でベテランの西村という国語の講師が体調不良で退職する意向を示していたからだった。

国語に関しては、夏期講習の塾生評価、保護者評価が高かったらしい。どれくらい高かったのかは詳らかには知らないが、そう言われて悪い気はしていなかったが、正規職員の後釜となると、時間数が多い可能性もあり、「相談したい」という塾側の申し出を俺は保留していた。

就活も終わっていたし、サークルの活動も大学祭が最後。後は追いコンだけ。時間はあった。

大学最後の11月、12月、1月、2月を中学受験の児童のために使うことも悪くないと、路子の顔を見て思った。

別に、路子に何か特別な感情があったわけではない。ただ、『マサル学院』で小学生に物を教えるのは、楽しかったし、そもそも、教職課程を履修していたのも、学校の先生になるためだった。しかし、教育実習で現実を知った。縁故がなければ、採用はないという現実。

当時はそういう時代だった。団塊世代の教師が現場を取り仕切っていて、俺達団塊ジュニア世代の教員希望者は、その息子や娘という縁故が必要とされている時代だった。
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