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火照るあなたの横にある小説
第1章 明かりのむこうに
【静けさのあとで】

「灯さんの手、好きです」

澪は灯の指を包むように握りながら言った。
まだ裸のまま、毛布にくるまれていた午後の時間。

外では風が木の枝を揺らし、
窓辺の本のページがふわりとめくれた。

灯は、澪の額に口づけを落とす。
そしてゆっくりと、その背を撫でた。

「こんなふうに誰かと過ごすの、初めてかもしれない」

澪が言うと、灯は笑った。

「わたしもよ。たぶんずっと、こういうのを探してた」

身体じゃなく、心が寄り添う誰かを。
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