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火照るあなたの横にある小説
第1章 明かりのむこうに
読んでいるうちに、澪の肩がそっと触れてくる。
わざとじゃない。けれど、その近さに息が詰まりそうになる。
「灯さんの声、あたたかいですね」
名を呼ばれたその瞬間、灯の心のどこかにずっと降り積もっていた雪が、
一片ずつ解けていくような感覚があった。
何も言えずに、灯はただ微笑んだ。
澪の眼差しに、今まで知らなかった欲が湧き上がる。
指先が触れたのは、偶然か、あるいは確信か。
けれどふたりとも、手を離そうとはしなかった。