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火照るあなたの横にある小説
第1章 明かりのむこうに
【言葉にならない夜】

夜の書店は、昼とは別の顔をしていた。
澪は静かに、閉店間際の扉を開ける。そこには、灯が待っていた。

「会いたくて、来た」

その一言で、灯の背筋が震えた。
こんなにも、誰かの言葉が身体に染みたのは初めてだった。

「私も…あなたのこと、ずっと…」

灯の声が途切れる。
ふたりの距離が、わずかに詰まる。手と手が、確かに触れ合う。

呼吸が重なり、澪の瞳が灯を深く見つめた。
言葉よりも先に、唇が近づいた。

静かに、ゆっくりと、ふたりは初めての口づけを交わす。

そのやわらかな感触に、灯の全身が熱を帯びていく。
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