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大きなクリの木の下で
第3章 同窓生の美代子

週明けの月曜日。
竹本伸和は絶不調だった。
いや、それは校正部の周りの部員からしてみれば、
絶不調ではなく、安定のへっぽこ業務だったから
誰一人として「ん?どうした?体調でも悪いのか?」と気にかける人さえいない。

彼が憂鬱なのは雨宮静香を意識し始めたせいだ。
金曜日の夜に食事に招かれて、
友だちだという美代子という女性が現れるまでは
甘いムードで、それこそ一線を越えかねない状況だったのに、
週が明けて今日の月曜日になると、なんだか彼女から避けられている気がしてならない。

そしてランチタイムに彼としては清水の舞台から飛び降りるつもりで、思いきって「金曜の夜はごちそうさまでした。あの…、お礼と言ってはなんですが、今度のお休みの日に公園を散歩にでも行きませんか?」と声をかけてみた。

竹本くんからデートに誘われて舞い踊りたい気分になりかけたが、不意に美代子の言葉が脳裏によみがえった。

- あの人、貧乏よ、あんなやつとデートしたって公園をぶらぶらしたりするだけで楽しくなんかないわよ -

まるで美代子の予言通りに「公園を散歩」というワードが出てきたこともあり、おまけに女性同士で愛し合うという不純な行為をした後ろめたさから「散歩はあまり好きじゃないんです」と素っ気なく断ってしまった。
それだけではなく「お礼のお返しのキャッチボールは金輪際お断りします」なんて言ってしまった。

『デートの誘いかたが不味かったかなあ…』

静香を意識すればするほど心の中で彼女の存在が大きくなり、
なんとしてでも親密になりたいのに、ずっと避けられているものだから、仕事中も気がそぞろで、全くページが進まなかった。

定刻になると、まるで竹本と二人っきりになるのがイヤなように
「お先です」と静香は我先に帰宅してしまう。

「俺も帰ります!すいませんお先です!」

おいおい、残業してでも仕事のペースを取り戻すのが先だろ!と、部長からの叱責を背に受けて「明日からちゃんとやりますんで!」と断りを入れて、竹本は走って静香を追いかけた。

「静香さん!」

ようやく追い付いて「良ければ駅までご一緒しませんか?」と
さりげなく並んで歩こうとすると「私、急ぎますので」と
小走りで去ってしまった。
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