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レッスンの仕方が間違っている!
第11章 3次審査当日
「ほぅ……やはり最終となりますと、レベルが違いますね。」
「素人の村さんでもわかるよな、このくらいは。鈴はあんまわかってないみてーだけど。なんでこの人審査員に収まったんだ?」
「おそらく新ユニットのデビュー曲の作詞だからじゃないでしょうか?」
「そーゆー村さんも作曲だと思うんだけど?」
「まぁねぇ~」
「何でそこで鈴が肯定すんのかわかんねぇ……1つ前ならわかる。」

 審査は既に始まり、そろそろ順番最後の椿に差し掛かっていた。
 審査員席では、功と村上が鈴木を挟んでコソコソ話している。
 鈴木はあまり気にしない。
 ファイナリストからは、選考で悩んでいるように映るだろう。
 彼らの必死で演技する姿には同情する。
 作者が言うのもお門違いだが。
 まぁ、現時点でお目当ては決まっていたため、この3人の審査員にとっては前座タイムのようなもので……勿論他の審査員の目は平等だったが。

「12番の方」

 ドアをノックして椿が入ってくる。

「はい!」

「来たな……」

 功は話すのを止めて視線をドアに集中させる。
 村上も鈴木も席を座り直す。

「12番、喜多 椿です。」
「では、曲がかかったら演技に入ってもらいます。」

 入ってきた椿は相変わらずの笑顔だった。
 歌唱力も前回とは比にならないほどの上達を見せ、審査員側にも期待の声が、演技中密かに上がった。
 合格者というのは、必ずしもデキている、ことではない。
 伸びしろがある、ことが最重要課題でもある。
 業界に入って求められるのは、業界人としての寿命。
 そこで、審査員やスカウト陣の審美眼が問われる。

「ん?」

 演技終盤、審査員側で訝しげに功が小さくこぼした。
 村上はいち早くそれに反応した。

「どうしたんです?」
「いや……なんかアイツ、様子おかしくないか?」
「そうですか?」
「あぁ、気のせいじゃない。アイツあんくらいじゃ汗かかないぜ?ちょっとこの後抜ける。選考は椿推しといて?」

 功は村上に耳打ちし、席を立つギリギリの体勢に入る。

「演技終了です。審査結果は明日の郵送をお待ちください。お疲れ様でした。」

 椿は頭を下げて足早にドアから出て行った。
 それとほぼ同時に功も席を立ち、審査員席側のドアから出て行った。
 幸いというのも変だが、彼には審査途中抜けの前科があり、それを咎める者は居なかった。
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