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レッスンの仕方が間違っている!
第4章 3次審査まであと7日
 気付いたらもう、事は終わっていて、ただ絶句するだけだった。

 唾液が口端にねっとり着いていた。
 それを手の甲で拭い、テーブルに視線を落とす。
 椿も同じ様にテーブルに視線が落ちていた。
 ゴクンと唾を飲み、功は瞬きをした。
 口内に、珈琲の苦味が残る。
 その苦味がじわじわと、功を思考へと引きずり混む。
 2人は、未だ言葉が見つからないまま。
 故に会話も途切れたままだった。
 しかしそうもいかず、お決まりのポーカフェイスはすかさず繕う。

「椿、それって素でそーなわけ!?猫かぶりとかなく?」
「……うん。」

 俯いたまま小さく肯定する椿。

「じゃぁ椿、人に言われたら誰にでもするのかよ?」
「……」

 何で黙んだよ。
 つか、何焦ってんの俺。

 功のポーカフェイスにもそろそろ限界がきていた。
 そして自身が今どんな表情なのか、知る人は居ない。
 椿の視線は、斜め下。
 ギャラリーからは2人の横顔しか見えない。

 つーか俺、何言って……

「……っだっ」

 ん?
 何つった??

 そこでお互いの視点が混じり合う。

「功が、初めてだよ……」
「え……」

 功が、初めてだよ…

 功が、初めてだよ……

 ※エコー

 功が、初めてだよ……!?

「……」

 今度は功が黙る。

 今の、聞き間違いじゃないよな!?
 ちょっと待て!
 何だそれッ……可愛すぎんだけど!!

「ガタンッ」

 功は急に立ち上がり、背を向ける。

「!?」
「食べてて。ちょっとトイレ。」

 椿はよろよろと店内に向かう功の後ろ姿を、怪訝な目で追う。
 やや気まずさが残るが、一気にいろいろありすぎて、助かった?と感じる椿だった。
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