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レッスンの仕方が間違っている!
第4章 3次審査まであと7日
一方椿は、ホットケーキに手をつけ、ヨーグルトに取りかかろうとしていた。
熱い。
身体中が熱い。
太陽が昇り始めたからかな。
いーや、脱いじゃえ。
上ジャーを脱ぎノースリーブになる。
何だ、上着てたせいか。
さっきよりずっといい。
―ドックンッ・・ドックンッ……
あれ、鼓動も少し速い?
普段走っても全然なのに……
流石に昨日のダンスはそうもいかなかったけど。
この後教えてくれるんだよね!
……楽しみだなぁ。
う~ん……さっきの珈琲の味がまだ口に残る。
全然ヨーグルトで緩和されないや……
「コトッ」
まだ液体が残るカップに指をかけ、しかし躊躇って再びテーブルに戻した。
じっとカップの中身を見つめる。
黒に近い液体に反射して自分の顔がさざ波の中歪んで映る。
この珈琲はsnow fallより少し苦い、そう椿は液体に映る自分に感想を述べた。
そして、当分苦い珈琲は飲みたくないとも付け加えた。
勿論声にすることも、返事がくる訳でもない。
ただユラユラゆれる液体を眺める。
だがやはり、飲む気にはなれない。
フリーズしたまま。
「はぁー……」
椿は別に苦い珈琲が嫌いな訳ではない。
そして、カナリアでこの珈琲を飲むのも初めてではなかった。
ましてや、ここの珈琲を冒涜するな気などさらさら無い。
では……?
ただ気付きたくなくて、椿は自分に嘘をついた。
『苦いから』飲みたくない訳ではなかった。
『思い出してしまう』から。
あの瞬間を……
しかしそうは言えど、もう遅い。
そもそも自業自得なのだ。
あの時の椿はどうかしていた。
訂正、alwaysどうかしている。
功はホットケーキをねだった。
だが椿の勘違いは突拍子もなかった。
更には水でなく、珈琲を選んでしまうところがまた、椿という人間を表していたと言えよう。
幸か不幸か。
因みに椿は未だ勘違いに気付く様子は無い。
言わなきゃわからないレベルの天然なのは言うまでもない。
功はこれから苦労しそうだ。
否、もう苦労している。
「カランッ」
椿は反射的に、音のした方向を振り向いた。
熱い。
身体中が熱い。
太陽が昇り始めたからかな。
いーや、脱いじゃえ。
上ジャーを脱ぎノースリーブになる。
何だ、上着てたせいか。
さっきよりずっといい。
―ドックンッ・・ドックンッ……
あれ、鼓動も少し速い?
普段走っても全然なのに……
流石に昨日のダンスはそうもいかなかったけど。
この後教えてくれるんだよね!
……楽しみだなぁ。
う~ん……さっきの珈琲の味がまだ口に残る。
全然ヨーグルトで緩和されないや……
「コトッ」
まだ液体が残るカップに指をかけ、しかし躊躇って再びテーブルに戻した。
じっとカップの中身を見つめる。
黒に近い液体に反射して自分の顔がさざ波の中歪んで映る。
この珈琲はsnow fallより少し苦い、そう椿は液体に映る自分に感想を述べた。
そして、当分苦い珈琲は飲みたくないとも付け加えた。
勿論声にすることも、返事がくる訳でもない。
ただユラユラゆれる液体を眺める。
だがやはり、飲む気にはなれない。
フリーズしたまま。
「はぁー……」
椿は別に苦い珈琲が嫌いな訳ではない。
そして、カナリアでこの珈琲を飲むのも初めてではなかった。
ましてや、ここの珈琲を冒涜するな気などさらさら無い。
では……?
ただ気付きたくなくて、椿は自分に嘘をついた。
『苦いから』飲みたくない訳ではなかった。
『思い出してしまう』から。
あの瞬間を……
しかしそうは言えど、もう遅い。
そもそも自業自得なのだ。
あの時の椿はどうかしていた。
訂正、alwaysどうかしている。
功はホットケーキをねだった。
だが椿の勘違いは突拍子もなかった。
更には水でなく、珈琲を選んでしまうところがまた、椿という人間を表していたと言えよう。
幸か不幸か。
因みに椿は未だ勘違いに気付く様子は無い。
言わなきゃわからないレベルの天然なのは言うまでもない。
功はこれから苦労しそうだ。
否、もう苦労している。
「カランッ」
椿は反射的に、音のした方向を振り向いた。