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ーasahiー
第5章 確執


「俺ね兄さんの代わりに社長なるのが
すっごーく嫌だったんですよね。
身の程を知れ!
そう言われたらそれまでなんですけど…。
認められたかったんですよ」




「社長とかどうでもよく決めないだろ」




「それはそうなんですけどね。
なんでも兄さんの影で
俺を見られてなかった気がします…。
兄さん目立つから…
あー…それが逆に羨ましかったのかも」




「…………。」




「勉強も頑張ったし…
迷惑かけないようにもした…
でも最終的に美味しいどこ取りされちゃって
毎回おこぼれですよ
棚ぼたってやつですね…。
だから…距離置くようになったら
確執みたいなのできちゃってて…
今更仲良くする理由もないし」



「お兄さんってもしかして…
輸入家具とか扱ってないか?」



「してますよ」



「そうか…じゃぁあの人がお兄さんか…」



難しそうな顔をして
口にグラスをつける…
眉間に皺が寄りため息をつき…



「え…兄さんが…どうかしましたか?」



「あ…いや…本当かどうかは知らないが
他の会社の顧客情報盗んで
自分の会社に引っ張ってるって…」



「どー…いう事…です?」



「他社と比較してそれより安く見積もりを出し
顧客に提示してるって…
だから他の会社との取引を破談させて
自社への利益に繋げてるって…
あ…でも確信はないんだ…
最近営業先で耳にしたから
もしかしたら…と思って…な」



「しらなかった…
兄さんそんな事してるなんて」



「いや…ただの噂かもしれないだろ
すまん…こんな話して」



「あ…いいんですよ
修は悪くないですから」



無意識に煙草をとり口に咥える
ため息とともに吐き出された煙は
照明にかかりオレンジに見えた…




心配そうにする修をよそに
考えないように…
飲むペースを上げる。

酔いが回り…
俺は口にした…



「どこかで…
完璧だと思ってしまっていたんですね
兄さんも…
プレッシャー感じてたかもしれないのに」



「あぁ…」



手のひらが優しく頭を撫でる
多くは語らないが
修のキモチは伝わった…



「少し休もうか」



その言葉で瞼を閉じ眠りに落ちる。
テーブルにうつ伏せ
少し…休もう…



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