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ーasahiー
第6章 修side
眠りにつく修に上着をかけ
一人夜景を眺めながら酒を飲む。
するとマスターが小さな声で
「よければカウンターで
少しお話ししませんか?」
「えぇ…」
俺は旭を残しカウンターに座る。
マスターが特別にと出してくれた
チーズを口にしながら
カクテルを飲んだ。
「旭様は…少しお疲れのようですね」
「えぇ…俺が余計な事を…」
「………」
「旭は自分が認められてないって
不安だったんですよ
あの年で次期社長って言われるのも
プレッシャーだったと思います」
「そうですね…
まだ22歳ですからね大変でしょう」
「えぇ…
だから俺がココロだけでも支えてやらないと」
マスターは目尻に皺を寄せ優しく微笑む。
「藤原様は旭様がとても…
大切な方なんですね
旭様から藤原様のお話を聞き
お互いが思いやっているとよく分かります。」
「旭はなんて…?」
「弱い自分をみせられると」
「そんな事を…」
「普段はどのような方かは知りませんが
藤原様と居る時は素の自分でいられる
他と比べずに見ていてくれると
嬉しそうに語っていましたからね」
《俺は俺なのにね》
きっと辛かったんだ…
兄さんと比較され
影に隠れていると…
俺は…
知っているよ…
お前が人一番頑張っていて…
素直な事を…
不安だったんだよな。
存在が無いみたいで…
「旭は表面では自信家だけど
ココロでは不安があったんですよね
分かっていながら…
上手くフォローできてないから
先輩として失格ですね」
自傷気味に笑う俺をみてマスターは
「失礼ですが…
恋人ではないんですか?」
「あ…っ…えーと」
「違ったら失礼しました。
こういう仕事していると
多様な関係を見てきますので…
てっきりそうかと…」
「………。」
「少なくとも旭様は
そう思ってらっしゃいますよ」
うつ伏せに寝る旭に目をやり
暫く考え…
「俺も…そう思っていますよ」
何も言わず優しい眼差しを向け
マスターは新しいお酒を用意した。
「私からです…
これからもお二人が良い関係で居られるように」
「ありがとうございます」
そのお酒は程良く甘く
いい気分にさせた。