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ーasahiー
第7章 不安
「あ、修…?
今日遅くなるから先に休んでてください」
「なにかトラブルでも?」
「ちょっと…ね…
でも大丈夫なので心配しないで
ちゃんと帰るから」
「あぁ」
電話をかけると心配そうな修の声…
きっと寝ずに待っているんだろうな…
兄さんの家…
今まで確執とか考えて顔もあわせなかったが
今日はしっかり話さなきゃな…
意を決してインターフォンを押し暫くすると
玄関のドアが開き兄さんが笑って出迎えた。
その笑顔は痛々しく
いつものような自信に満ちた顔ではなかった…
「旭が…きたか
父さんが来ると思ってたよ」
部屋に入るが足の踏み場もなく
テーブルにはビールや酒が散乱し
服や書類でソファにも座れない。
「兄さん…」
声を掛けるとハハッと笑い部屋を見渡し
「これが本当の俺なのにな」
やっぱり…
兄さんも同じように
悩んでいたんだ。
「なんであんな事したんです
兄さんの力ならあんな事しなくても
会社は上手く回ったでしょ」
「普通じゃ…並の業績じゃ
回りが納得しないんだよ
祖父さんや父さんみたいにならなきゃ
認めてもらえないんだよ」
かすれる声で絞り出された言葉は
悲痛の叫びに聞こえた…。
「だからって…
反感しか買わないやり方
兄さんらしくないな」
「らしくない?旭がみてたソレは
理想の俺じゃないのか
完璧な俺を作ってるだけだろ」
ソレ…
まるで物のように言う兄さんは
ガサガサと書類を床に落としソファに座った。