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ーasahiー
第7章 不安
「旭はよく言ってたよな
俺みたいになれたら楽なのにって
そのキモチ良く分かるよ
俺も楽になりたかったから
そうしてただけだよ」
「楽に…なれましたか」
「酷いね旭は…
この状況みて楽にみえるか」
「でもこれが結果です」
「俺もおこぼれで楽になりたいよ
俺は旭が羨ましい」
「俺の立ち位置も楽じゃないですよ」
「会社立ち上げたのだって旭の為なんだけどな
俺なんかより旭が上に立つ方がいいと思って
なんとかポジション作ってやらなきゃ…
そう思ったのに
こんなんなったら意味ないな」
「俺の為…?」
「じゃなきゃ俺が継いでたよ」
「なんで…」
「そりゃね、可愛い弟の才能伸ばさなきゃ
兄ちゃん失格でしょ
お前が頑張ってるのは知ってたからな」
あぁ…そうか…
確執とばかり思って壁を作っていたのは
俺だったんだ。
兄さんはしっかり見ていてくれてた…
同じなんかじゃない。
俺は守られていたんだ。
なのに気づきもしないで
毛嫌いして
見ていなかったのは…
俺だった。
「兄さんは…
どんなんでも兄さんですよ」
「迷惑かけたね」
スーツを着て髪を整えた兄さんは
さっきまでの暗い表情ではなく
社長らしい目つきに変わった。
「さぁ…弟の恥にならないように
やり直してくるよ」
そう言って家を出て行った。