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ーasahiー
第9章 挨拶
家に着くと気が抜けたように
ドサッとソファにもたれかかり
目を閉じ深く息を吐く。
「修…疲れました?
無理させてなかったです?」
少し体勢を直しながら
「いや…緊張はしたよ」と
若干苦笑い気味に答える。
コーヒーカップと灰皿を渡し隣に座る。
「なぁ…旭?」
「なんですか?」
「この前なんて言おうとしてた?」
きっとあの事を言っている。
会社を移る話だ…
「父さんと同じ事ですよ」
「そっか。
お前も同じ気持ちか」
「はい…
でも迷惑ですよね?
気にしなくていいですから」
俺上手く笑えてるかな?
「迷惑どころの話じゃない」
「ですよね。すみません」
「嬉しいに決まってるだろ」
満面の笑みで俺を見つめる修は
「ただ…今じゃない。
旭に負けない位働けるようになるから
もう暫く待ってろ」
「っ…はい…」
嬉しさのあまり声がしっかりと出ない。
こんな事ですら涙腺が反応する…
「こい、旭…」
両手を広げ俺を待つ。
言われるがままその胸へと
顔を埋め一筋の涙を静かに流した。
「子供かお前は」
優しい声が頭上から聞こえ
顔をあげれば
触れるだけのキスが
俺の胸を熱くさせた。
「修、好きですよ」
「あぁ…知ってるよ」
向かい合って笑う俺たちは
世で言うバカップルなんだと思う。
こんなピンクな雰囲気が
幸せの証拠なのかもしれない。
「そういえば…
旭の母さん何をくれたんだ?」
「あっ、忘れてた
あけてみましょうか」
綺麗に包装された
ピンクと青の箱を一つずつ手にとり開ける。
「修がピンクね」
笑いながら渡したが中身をみて思った。
やっぱり修はピンクで正解だと。
「旭、お前が青で正解だな」
同じように言われた。
「母さん修がネコって分かったんですかね」
笑いを堪えられず吹いてしまう。
恥ずかしそうに顔を覆いながら
「それは…気まずいな」
と…修も笑っていた。
俺たちが手にしたのは…